山国ブータン王国−96(4号隊員報告書-2)

1999年1月6日

B.この半年間の活動の考察

 この半年間は、初めてティンプーでじっくり活動する期間となった。

 まずとりかかったのが、ティンプー線路地図の作成だったが、地図の原図をどうするかでかなり悪戦苦闘した。最初は、市販のティンプー市内地図をコピーして、その上に線路情報を書き入れようと試みたが、この地図一見よくできでいるように見えたが、建物の位置・道路の幅など実はかなり雑に作られていることを、実感したため利用できなった。

 次に、自分でコンピュータで原図の地図を作ってみることを試してみた。これの長所は、道幅や建物の修正が現場を見て自由にでき、とても便利なことなのであるが、いざCADソフト「VISIO」を使って、市販の地図を写すように打ち込んでみたが、これも当初のイメージしていた完成像とは、全く違ったものになってしまい、これも使えなかった。

 「コンピュータが使えないなら手書きで」と手書きで作成することも考えたが、「いまどき手書きの地図というのもダサイなぁ」といまいちやってみる気になれなかった。

 このようになかなか活動がうまくいかず、電話線路地図の完成イメージもなかなか浮かんでこなかったため、活動に対する集中力もとぎれがちだったのもこの8月・9月の時期だったように思う。この時期は、仕事場で地図作成の研究をしているつもりが、いつのまにかパソコンゲームをやっていたり、時間管理に対してかなりウダウダになっていた自分があったのも事実である。

 この時に初めて「自分が、日本でやっていた仕事は、上司の管理の元に命令や要求されたことをそのままやっていただけで、根本的に自分が社会や配属先のために、本来どうあるべきなのかなんて、ほとんど考えたことが無かったなぁ」と思うと同時に、ここのようにいざ自分自身が主体的になんでもできる立場におかれても、日本の学生・社会人時代の「クセ」の影響か「何も言われないから何もしなくていいのかなぁ。」とか「人もそんなにやっていないから、自分もやらなくてもいいや。」と考えてしう、自分自身の主体性の無さも感じた。

 協力隊活動は、自分自身との戦いなんだなぁと思う。いかに、自分でこうあるべきだという目標に、集中して取り組んでいくか。日本のように上司に管理されている訳ではなく、ほとんど誰も自分のやることに口出ししてこないこの状況において、「これがブータンにとって必要だから、私はやるのだ。」という自分の強い意思が無いとやっていけないと感じている。

 と言いながらも、いきづまった活動に進展させるきっかけの情報をくれたのは、私の同期隊員だった。10月初めに、彼が「ポールというイギリス人ボランティアが、コンピューターでティンプーの地図を作っているらしいよ。」という情報を教えてくれたのが、私の活動の前進になくてはならないものとなった。

 早速、彼の職場へ行き、事情を説明して「私の活動にあなたの地図が必要だ。」と頼むと、「お前だけに貸してやる。そのかわり、絶対誰にもコピーしないでくれ。」という条件で、データをフロッピーで私に貸してくれた。彼は、その地図の上に、電力、下水、水道、ゴミ置き場などの情報を入れ込んでいたのだが、電話網に関しては未着手の状態だった。電話線路地図完成のあかつきには、もちろん恩人の彼に私のデータを使ってもらおうと思っている。

 しかし、データを手に入れたが、私はそれを動かすソフトを持っていなかった。そこで、今度は公共事業工事局の建築構造計算隊員に頼み、私のコンピュータにインストールしてもらったと同時に、私自身AUTOCADを使ったことが無かったので、時間を作ってもらい基本操作を教えてもらった。

 さあ、「これで地図作成ができる。」と思ったが、実は地図データがフロッピーの中に圧縮されて入っていたため、その解凍ソフトが必要になった。システムエンジニア隊員に相談してみると、「そんなの君の技術月刊誌に入っているよ。」とあっさり言われ、早速私の技術月刊誌インターネットマガジンを見てみると、付属CDROMの中にしっかりと入っていた。このとき、始めて私の技術月刊誌が役に立ち嬉しかった。

 これで、やっと自分のコンピューターに線路データーを入れることができるようになった。イギリス人ボランティアの作ったティンプー地図は本当にすばらしく、また正確で、線路データを入れていくのには好都合だった。

 これに、まず基本的なデータを入れて、公共事業局への通信ケーブル埋設情報提供用に作成したのだが、今後もっと正確/精密度を上げるために、ティンプー市内全体を自分自身で歩く現場調査が必要である。

 このように、個人でやっていると思った協力隊活動も、実はこんなに多くの人の助けを借りながら進んでいる事実を、私はしっかりと認識して、感謝しなければいけないなと思った。



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