山国ブータン王国−77(偽スノーマントレッキング-5)

1998年10月14日

(ブータンの温泉とヒル地獄)

第12日目 平成10年9月20日 コイナ(3200m)〜ガサ(2600m)

 7時50分に出発、今日は1日中ヒルに悩まされながら歩いた。本当にこのあたりは天気が悪く、湿気も多く、高度もそれほど高くないので、絶好のヒルのたまり場となっていた。歩きながらも何度も何度も靴についたヒルをチェックし、くっついているヒルを取り除きながら歩いた。だから、ほとんど下を見ながら歩いていた。

 14時50分にガサに着いて再度チェックしてみたら、ズボンにまだ1匹ついていた。しかし、今日のところは実際に皮膚に食いつかれた被害は無かったのでよかった。今日も道中はほどんど休憩をとらなかったので、7時間もずっと歩いていた計算になる。


写真:ガサゾン

 ガサの町にも電気はない。ただ、チベサやラヤとちがって太陽電池が普及していた。電話も日本の無償援助プロジェクトによって、使用可能であった。何よりも嬉しかったのは、ビールが売っていたことである。久しぶりに飲んだビールは本当に美味かった。

 この日の、宿泊場所であるガサ温泉は、ガサの町からさらに1時間下りた川沿いにあった。「今日は一番いい部屋をとったよ」と言われ楽しみに見てみると、部屋の中には何もなく、ただの板の間だった。まあ、マットレスとシェラフがあるので寝るのには支障はないし、2階なのでヒルに襲われる心配もないので、いい部屋といえるだろう。

 ちなみにこの部屋の値段は、1泊20Nu(70円)だった。

 ガサ温泉は、ブータンで最も有名な温泉である。すぐに、その噂の温泉に行ってみた。この温泉には、国王用の温泉ハウスと、4つの一般用浴槽と、シャワー小屋があった。国王用のだけは建物の中にあるが、一般用はみんな屋根付き露店風呂だった。

 日本以来1年2ヶ月ぶりの露天風呂は、もう最高であった。湯の温度もこの季節にしては、暑すぎもなく冷たすぎもなくちょうと良い感じだったし、湯はしっかりと硫黄の匂いがするちょっと白っぽい湯であり、日本と全然変わらない気持ち良さであった。

 「ブータン式の温泉の入りかたが特にあるのかな。」と最初ちょっと躊躇したが、見てると下着をつけたまま入るのが一般的のようであった。たまに全部脱いで入っている人もいた。私は、着ているものを濡らしたくなかったので、全部脱いで入った。

 シャワー小屋は、シャワーといってもパイプから滝のように自然に湯を落としているだけのもので、小屋の中は薄暗く、窓はあるがガラスは無かった。

「窓から覗き放題ではないか。」と日本にいるとそう思ってしまうだろうが、ブータンであればこんなものだろう。この温泉は男女の区別がまったくしていないし、配慮もしていないので、女性には使いずらそうであった。 

●第13日目 平成10年9月21日 ガサ(2600m)〜プナカ(1100m)

 まだ13日目なのに、例のハプニングで歩くのは今日が最後となってしまった。8時30分に出発。

 出発直後に、昨日にも増してすごいヒル地獄が待ちうけていた。天気も小雨というヒルにとっては絶好のコンディションであり、5分歩くと靴にヒルが数匹へばりついて、靴下に潜り込もうと登ってくる状態だった。ここは、最高に気持ちが悪いエリアだ。道に止まるとヒルが寄ってくるため、不用意に止まることができなかった。ヒルがもう靴の中に入っているかもしれないという不安は、精神的にとてもイライラさせた。

 1時間後やっと吊り橋にさしかかって、橋の真ん中で靴を脱ぎチェックしてみると、やはり6匹のヒルが靴下にへばりついていて、2匹に食いつかれていた。ガイドの靴下には20匹もヒルがいたので、ガイドはその靴下を川へ捨ててしまった。ガサ温泉は最高なのだが、この温泉の周りは最悪地帯なのであった。

 今日も、ほとんど自分の足を見ながら歩いていた。16時55分に車道の終点であるタンタンカに到着、車でプナカの町まで行き、そこで宿泊した。



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