1998年9月8日
ブータン王国で、ブータン観光局に認定されているトレッキングコースは、全部で約13ほどあるのだが、その中でも最大のトレッキングコースがある。
その名も「スノーマントレッキング」といい、標準で25日間、ブータン西部のパロを出発し、リンシラヤルナナという、ブータン北部のヒマラヤ山岳地帯4000m〜5500mを歩き、最後にブータン中部のトンサという町の近くに到着する、歩行距離の合計が約350kmという、すごいとんでもないコースである。
このトレッキングコースの存在は、ブータンに来た時からうわさで聞いていた。「なかなか完歩するのが難しいらしい」「過去、ブータンの協力隊員では、これまでたった1人しか行ったことがないらしい」「4日、5日のトレッキングとは、スケールが違うよ。」などなど、妙に自分の中で気になっていたトレッキングであった。そして、「この2年間にきっと俺が行ってやるぞ!」と、いつのまにか目標になってしまっていた。
この心のもやもやがどうしても消えないので、ついにこの9月9日水曜日から、1日短縮して24日間の予定で、このスノーマントレッキングに挑戦することにした。ちょうど雨季が終るこの時期が一番いいということを聞いていたので、ここに決めた。参加者は私1人、こんなトレッキングに誰も行こうとしなかったので、費用は1日80ドル、合計1920ドル(275000円)と、かなり高く現地生活費では間に合わないので少し借金することになった。同行するスタッフは、ガイドとスタッフ、そして馬使い2人の合計5人と馬6頭の予定である。
職場に、24日間の休暇の許可をもらう時「どうなっても知らないからね」と言われて、配属先からの同意書には「このトレッキングで起こった事故に関しては、隊員本人に責任があり、ブータン側には責任は一切ない」という但し書きまでが盛り込まれてしまった。
心配なのは、5000mを超える標高と寒さであるが、体調管理をしっかりとして、なんとか完歩できればいいなと思っている。予定では、10月2日にティンプーに到着となっている。うーん、やっぱりちょっと不安ではあるが、協力隊参加を決断するときもこんな気持だったので、きっとティンプーに戻ってくる時は、すがすがしい気持になっていると信じている。
が、やっぱり24日は、死ぬほど長く感じるにちがいない。