山国ブータン王国−54(ブータンの散髪屋)

1998年3月22日

 今日、町へ散髪しに行った。首都ティンプーには、ざっと10件ほどの散髪屋がある。これらは、すべてインド人が経営している。ここブータンでは、散髪をはじめ道路工事、建築、水道工事などは、ほとんどインド人かネパール系が仕事している。ブータン人は、このような職種につきたがらないらしい。いわゆる「汚い」仕事である。電話線路工事もここでは、完璧に「汚い仕事」の部類なのだが、ブータン通信省が電話設備を脱インド製の方向で進めているため、インド人は1人もいない。ネパール系は4、5人いる。

 ここで、ブータン人、ネパール人、インド人の違いを説明すると、ブータン人は日本人そのままと思えばいい。インド人はアラブの国々の顔、イランやUAEのサッカー選手たちの顔をイメージすればいい。ネパール系は、茶黒い顔と思ってもらえばいい。

 散髪屋の中は、もう慣れてしまったが結構汚い。椅子と鏡があり、洗髪の設備はない。椅子に座ると、日本と同じように首からマントをかけてくれる。そのインド人は英語が話せないので、言葉は通じず、ゼスチャーと片言英語で(サイド・アンド・バック・カット・ショート)などと説明すると、分かっているのかいないのか、髪を切りはじめる。説明があいまいなので、きっと適当にやっているにちがいない。

 カットが終ると「このカミソリ何人に使ったんや!」と思うような、怪しいカミソリで、耳元や後ろを剃ってくる。また、剃る前にクリームを使わず、ただの水を使うので、彼の冷えきった指と水には、いつもヒヤッとくるものがある。

 そして、最後に何人にも使った汚いタオルで、首すじの切った髪を拭き取っておしまい。当然それだけで髪が全部とれるわけはないので、首すじにはまだ髪が残っている。所要時間約15分、料金は15Nu(50円)とメチャメチャ安い。最初聞いた時は、驚いてもう一度聞き直したほどだった。

 考えてみると日本の散髪屋はとても高いな、とつくづく思う。店によって多少の違いはあるものの、いかにも価格カルテを結んでいるような割高料金である。「もっと料金が安くなってもいいのにな」とつねづね感じる。

 また、タクシー料金もそうである。ブータンで走っているタクシーは、みんな軽のミニバンである。自分の家から町まで約4kmあるのだが、タクシーを使えば専用で100円、乗合でだと20円で町まで行くことができる。この料金はとても手頃であり、気軽に使うことができている。日本だと私にとっては、手軽に利用するにはちょっと割高すぎる。

 この2つの料金が、私がブータンに来て「日本は高いな」と特に感じた代表的なものである。



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