山国ブータン王国−7(交通事情)

1997年7月29日

 ブータンの首都ティンプーは、山奥深くに位置し、とても空気が澄んでいる。というのは、車が走っていなければの話である。

 今、ティンプーはますます増え続ける車の排気ガスがすごい。海抜2300mに位置するこの町に、低地仕様のトラックや車が入ってきてものすごく黒く汚い排気ガスをまき散らしている。まだ、ブータン政府はこの排気ガスに対する規制を特にしいていないが、なんらかの措置を考えはじめるのは時間の問題だろう。

 「首都」ティンプーであるが、この町に信号はたったの3個所しかない。「信号機」ではない。「信号」である。なぜなら、それは手信号であるからだ。警察が日中、交差点の真ん中の信号ボックスに立ち、交通整理をしている。この交差点を直進する時、信号への意志表示として、車はヘッドライトを灯す。曲がる時はおのおののウインカーを出す。ここに来た当初は、このヘッドライトを灯す直進の意思表示がなんだか分からなかった。

 さらに、この国の道路には、トンネルが無い。橋も最小限にあるだけである。そのため、道は山の曲線に沿ってくねくねと、くねくねと続いている。道の広さは、幹線といえども山をくりぬいてできているため、車がぎりぎりですれちがえる程度の広さである。道路の片側は、谷底へ通じる崖になっているにもかかわらず、交通量が少ないことをいいことに車は案外飛ばす。ガードレールも無いのに。

 途上国の車の運転は、やっぱり恐ろしいと思う。タイのバンコクでも深夜のタクシーに乗った時、一般国道を150kmで走られたのも恐ろしかったが、ここブータンも見通しの悪いカーブを平気でスピードを落とさずに走る。今私は、研修所への通いに、毎日この道を車で通っているが、いつか谷底に落ちるんじゃないかとひやひやしている。

 動物も平気で路上にいる。牛は、よく幹線道路をふさぎ、よくひきそうになる。野良犬は町の路上に多い。町中では50m歩けば必ず1匹はいる。しかし、この犬たちは結構おとなしい。この町は、牛と犬の多い町である。道路の利用者は人間と牛と犬である。



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